大通公園の記念碑/札幌学院大学経営学部2年 中嶋俊希さん
札幌市中央区大通西2丁目等
※令和3年6月取材
大通公園に建てられた記念碑たち
マラソンのスタート地点である札幌市営地下鉄大通駅から西11丁目駅の間にある大通公園内には、10の記念碑が建てられているといわれています。なかでも最古のものは明治34年に建立されており、堂々とそびえる記念碑もあれば、公園内の木陰にひっそりと建つ記念碑など大きさや形、建てられた場所はさまざまです。
見つけられるか隠れ記念碑
下の写真は大通西5丁目の中心にある聖恩碑といい、高さが16.4mもあり、圧倒的な存在感からかなり遠方でも見つけることができます。碑に刻まれている文字は「聖恩無彊(せいおんむきょう)」と読み、天皇からの御恩は限りなしという意味です。この大きさに対して集団帰国記念碑という高さ約50㎝、横幅約70㎝のとても小さな記念碑があったり、さらには電話交換創始の地碑という決して小さくはないものの、銅版が地に埋め込まれた状態で飾られていたりするものもあります。このように、簡単に見つけられるものから、見つけるのが難しいものまで、歴史を学びながら記念碑探しを楽しむことができます。
記念碑でたどる札幌の歴史
明治初期、大通公園のある場所には、札幌の市街の北半分を官庁地区、南半分を庶民地区とする境界に設けられた幅の広い道路がありました。その後、火災の延焼を防ぐ防火の役割を持つ大きな広場(火防線)として拡幅され、これが大通公園の始まりとなっています。
最も古い記念碑である開拓紀念碑の歴史は、大通公園よりもさらに古く、札幌で最も古い記念碑とされています。明治2年に設置された開拓使が明治15年に廃止され、函館・札幌・根室県の三県分治に移行した際に、設置が発起され、明治19年に札幌市北区の偕楽園(北6条西7丁目)内に建設されました。その後、明治34年に当時広場となっていた大通公園に移され、現在に至ります。
このように、さまざまな出来事を記念して設置されているそれぞれの記念碑の近くには、写真のように解説が記載されていて、大通公園を散歩するだけでも、札幌の歴史をたどることができます。さらに詳しい歴史については、市営地下鉄東豊線で1駅の豊水すすきの駅最寄りの札幌公文書館(南8条西2丁目)で調べることもでき、記念碑探しでの学びをより深いものにすることができます。
マラソンコースのスタートは、歴史を知る第一歩
マラソンのスタート地点から、聖恩碑をはじめ、様々な記念碑がスタートしたマラソン選手たちを見送っていきます。記念碑は観光資源のように彩られたり目立っていたりするものは少ないですが、その当時の人々が記念すべき出来事として後世にも伝え続けるために丹精を込めて創られた時代の象徴です。オリンピックの舞台となった札幌を訪れる際には、ぜひ大通公園をはじめ、至る所に建てられた多くの記念碑をできるだけ多く探し、北海道の開拓の歴史を知ってほしいと思います。マラソンコースとして世界のアスリートたちが駆け抜けるまでに至ったこの街並みが、様々な歴史から支えられていることに気づき、感動を覚えることでしょう。