いくらの玉子ではなく「たまこ」。ユーモラスな商品名はみんなに愛される子に育ってほしいという願いを込めて付けたという豊商店の豊岡昭さんの娘さんの名前から。
豊岡さんはすすきので40年近く寿司店を経営する寿司職人。商品開発には長い長い歴史がありました。始まりはご主人がまだ30歳そこそこの頃。店で寿司ネタとして出したイクラに、網元で水産加工会社の会長をしていた方から「これは皮が残るバラコだな」と指摘されたのです。「会長が作ったイクラを食べさせていただいたら、生に近く、皮が残らずに口の中で溶けるイクラで、自分が作ったものとは全くの別物でした」とご主人。本物のイクラを目指してそれからは試行錯誤の連続。お墨付きをいただいたのは、それから13年後でした。一旦完成を見たと感じたあるときからお店で出すようになりましたが、次の壁は冷凍でも本物の食感を保つこと。途中からは跡取りの息子孝史さんも加わって親子で研究を重ねてきました。
「イクラは、原卵の品質、作り方、作る時期の三拍子がそろって初めて本物の、皮が残らず口の中で溶けるイクラになります。当店では原卵にもこだわり、バラつきがなく、濃厚な味が特徴で市場でも高い評価を得ている広尾町産の、それも数週間の決めている時期のみのものを使用しています」
解凍しても自然の味に近い薄塩味付けイクラができたのは3年前。その品質の高さは今回の北のハイグレード食品への選定でも証明されました。
審査ではイクラ丼用のお醤油をセットし、2段階方式にしたことでも高評価を獲得。「寿司ネタやお通しとしてはそのままでいいのですが、イクラ丼には少し味が薄いので、複数の醤油をブレンドしてつくりました」とどこまでも研究熱心なご主人。
ギフトを意識したパッケージの文字は歌舞伎文字の名人、橘右之吉氏(中村座等筆耕)にお願いしたものだそうです。
2017年度認定