「ハスカップ」の語源はアイヌ語の「ハシカプ」で、“木の枝にたくさんなるもの”という意味。近年アントシアニンなどの成分が注目を集めているベリーの仲間で、北海道では主に勇払原野に自生しています。アイヌ民族は “不老長寿”の妙薬として珍重していたと言われます。
お土産品などでハスカップを使ったスイーツをよく目にしますが、こちらはお酒。グラスに注いだ瞬間、ルビーのように鮮やかな赤色に引きつけられます。フルーティな香りに誘われて口に含むと、北国らしい酸味と甘味のバランスがよく、とても爽やかな味わい。アルコール度数も7度と低めで、アルコールが苦手な方にも飲みやすいお酒です。北海道中央葡萄酒(株)とハスカップの出会いは創業当時の1988年にさかのぼります。当時の千歳市農協(現JA道央)の職員から「ハスカップを使ったお酒ができないか」と相談されたことが商品開発のきっかけ。ハスカップの収穫期は6月下旬から7月中旬のわずか3週間ほどで、摘み取りから選別まで手作業で行われます。ハスカップの実は傷みやすく、日持ち期間が短いことなどから、加工品の開発が求められていたのでした。「現在ハスカップを栽培しているのは世界中で北海道だけ。地元の産品を使った酒造りで地元のお役に立てることは私たちにとってもうれしいことです。おかげ様でハスカップスイートはわが社のロングセラーにしてベストセラーです」と同社営業部長の黒須祥さん。仕込みから出来上がりまでは3か月ほど、毎年9月下旬から10月上旬には出荷が始まります。千歳市の観光土産推奨品にも選ばれており、市内や周辺の方もよくギフトとして使ってくれるそう。「地元で長い間愛されていることが誇りです」と黒須さんは胸を張ります。
「晩酌や食後酒としてはもちろん、赤い色と酸味が食欲をそそるので、食前酒としてもおすすめです」。
2015年度認定